相続の流れ
■相続とは
相続とは、被相続人(故人)が残した遺産を相続人が引き継ぐことをいいます。相続は人が亡くなったと同時に開始され、相続の開始とともに様々な手続きを同時並行で行う必要が出てきます。ここでは、相続が開始されたあとに行わなければならない手続きについて、その流れを説明していきます。
●相続開始後の流れ
相続開始後にやらなければならないことは、主要なものだけを抽出しても、以下のように多岐にわたります。
まずは、死亡届を提出し、故人の葬儀を行います。相続に直接かかわるものとしては、遺言書の有無を確認し、遺言書が発見された場合には、遺言書の検認を行います。また、遺産分割のための準備として、相続人と相続財産の調査を行い、正確な情報を把握できたらすぐに遺産分割協議を行います。
遺産分割協議とは、相続人全員が集まって遺産の分割方法について話し合うことをいいます。また、相続の方法として、そもそも相続権を放棄する相続放棄や、相続財産の一部を相続するという限定承認も考え得ますが、これらを行う場合には、家庭裁判所に申立てをする必要があり、その申告期限は3か月と決まっていますので、早めに選択肢として考えておくことが大切です。相続方法や遺産分割方法が決定したら、遺産分割協議書を作成して、書面として残しておきましょう。遺産分割がひと通り済んだら、相続税の申告を行います。
このように、多くの手続きが待ち受けていますが、以上のような流れをたどっていけば、段取り良く手続きを進めていくことができます。
●主要な手続きの詳細な内容
ここでは、先ほど確認した手続きの中でも重要なものについて、その詳細な内容を説明していきます。①遺言書の確認と検認、②遺産分割協議の準備、③遺産分割協議の実施の3つについて取り上げます。
①遺言書の確認と検認
まずは遺言書を探して、遺言書の有無を確認します。遺言書があれば、遺産分割の結果を左右する大変重要なものとなります。もし、遺言書を発見した場合には、偽造や紛失のおそれも考えられますので、決してその場で開封してはいけません。未開封のまま家庭裁判所に持参して、中身を確認してもらうことになります。これを遺言書の検認といいます。
②遺産分割協議の準備
先に確認した通り、遺産分割協議の実施にあたっては、事前に相続人と相続財産の調査を行って、話し合いの準備をしておく必要があります。遺産分割協議を行うのは、あくまでも遺言書がなかった場合であるということには注意してください。
相続人の調査を行う理由としては、遺産分割協議には相続人全員の参加が必須となっていることにより、誰が相続人なのかをあらかじめ知っておく必要があるからです。故人の戸籍謄本等を調査することで、相続人の調査を進めます。また、遺産分割協議においては遺産を漏れなく分割の対象とするため、財産の内容を正確に過不足なく把握しておく必要があります。そのために、相続財産の調査を行うのです。
③遺産分割協議の実施
上記のような準備が済んだら、いよいよ遺産分割協議を実施し、話し合いを行うことになります。遺産分割協議には、相続人全員の参加と同意が必須となっています。一人でも不参加ないし不同意であった場合には、遺産分割協議そのものが無効となってしまいますので注意が必要です。話し合いによって遺産分割方法が決定したら、決定内容を書面にまとめて、遺産分割協議書を作成しておきましょう。協議書を作成することによって、正式に当該財産の相続人であることを公的機関に証明することができ、その後の手続きがスムーズになります。また、協議書という書面の証拠があることによって、相続人間で話し合いを蒸し返すようなトラブルの発生も未然に防ぐことができます。
以上で確認した通り、相続が開始されると多くの手続きが待っており、何から行っていけばいいのか戸惑う方もいらっしゃると思います。その際には、弁護士 寺岡幸吉までお気軽にご相談ください。当事務所では、相続に関する様々なご相談を承っておりますので、ぜひお問い合わせください。
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