労災の手続き、会社任せにしていませんか?
労災が発生したとき、労災申請の手続きを被災者ではなく会社が行っているというのが、一般的な慣行でしょう。
被災者はしばらく休業しなければならないケースも多く、煩雑な手続きを会社が行ってくれるというのは一見して有難いようにも思えますが、手続きを会社にすべて任せてしまっていると、本来受けられたはずの給付を十分に受けられないことがあります。
労災申請手続きでは、会社が被災者のチェックなしで申請書等を労基署へ提出することが多くありますが、会社にとって労災申請を行うことは、
・労災が起きたことで、企業のイメージが悪くなる
・労災の保険料が増える
・労基署によって、事故の調査が行われ、場合によっては行政指導などが行われる
などの負担が生じることになるため、出来るだけ当たり障りのない内容を記載してしまうことがあります。しかし、これは被災者にとって事故が過小評価されたことにほかならず、労災認定がなされても給付額が少なくなる恐れがあります。ケースによっては、労災認定すらされないこともあります。
このようなリスクを負わないためにも、労災申請手続きを会社が行う場合は、事実がしっかり記載されているか被災者自身が確認する必要があります。被災者自身によるチェックが困難な場合は、弁護士等に依頼をして、代わりにチェックしてもらうという方法もあります。
いずれにしても、労災申請をすべて会社に任せないように気を付けましょう。
また、労働災害に遭った場合には、会社に対する損害賠償請求を検討すべきですが、その際には、労災申請の際に提出した書類や、それを受けて労基署で調査した結果を記載した書類が重要な役割を果たします。そのためにも、労災申請の段階から弁護士が関与することが重要なのです。なお、労基署で調査した結果を記載した書類などは、労働局に対する開示請求で入手することができます。
弁護士 寺岡幸吉は、社会保険労務士としての経験を活かし、労働災害をはじめとした労働問題に関する様々なご相談を承ります。
川崎市、横浜市、大田区、品川区など、神奈川県や東京都にお住まいの方のご相談に広くお応えいたします。
労働災害・労災保険でお悩みの方は、当職までご相談下さい。
弁護士寺岡が提供する法律知識
-
労災保険の認定に必要...
労災保険の給付が認められるためには、次の3つの要件を満たす必要があります。 ①被災者が労働者であること②ケガなどが業務中または通勤中に生じたものであること③ケガなどが業務又は通勤を原因に発生したものであること& […]
-
通勤中の事故は労災と...
労災保険の対象となる災害の中に、「通勤災害」というものがあります。通勤災害とは、労働者が通勤中に被った負傷、疾病、障害又は死亡のことをいいます(労災保険法7条1項2号)。負傷などの災害は、通勤中に一般的に生じる可能性があ […]
-
就業規則の作成
1 就業規則とは就業規則とは、一言で言えば、職場の規律や労働者の労働条件などについて、使用者が定める規則です。就業規則で定めなければいけない事項は法律で定められており(労働基準法89条)、その範囲はかなり広範です。以下、 […]
-
労災隠しについて
労働災害が発生しても、会社が労災を認めず、労基署への報告を行ってくれないことがあります。いわゆる「労災隠し」であり、決して珍しいことではありません。 会社が労災隠しを行う理由としては、次のことが考えられます。& […]
-
後遺障害等級の認定と...
業務又は通勤が原因となった傷病が固定し、これ以上治療を続けても効果が期待できない段階(症状固定の段階)で、身体に一定の障害が残った場合には、障害補償給付(業務災害の場合)または障害給付(通勤災害の場合)が支給されます。& […]
-
労災保険以外の補償を...
業務中または通勤中にケガなどの損害を受けたときは、労災保険以外の補償も受けられないかを検討してみましょう。具体的には、慰謝料などの「損害賠償請求」ができないかを考えてみましょう。 ●損害賠償請求労災保険の対象と […]