労災保険が適用されるケース、適用されないケース
ここでは、労災保険が適用されるケースと適用されないケースをご紹介します。
●労災保険が適用されるケース
労災保険の適用を受けるためには、労災保険法(労働者災害補償保険法)の定める一定の要件を全て満たすことが必要です。要件は次の3つです。
①被災者が労働者であること
②ケガなどが業務中または通勤中に生じたものであること
③ケガなどが業務又は通勤を原因として発生したものであること
これら3つの要件を満たす具体的なケースとしては次のものが考えられます。
・荷下ろしの作業中、崩れてきた積荷の下敷きになりケガをした
・昼休み中、社員食堂で食中毒の被害に遭った
・上司のパワハラにより、うつ病となった
・通勤中、交通事故に遭って死亡した
・急な発熱によって早退し、そのまま病院での診察を受けた後、事故に遭ってケガをした
●労災保険が適用されないケース
逆に、上記3つの要件のうち、1つでも満たさないものがあれば、労災保険の対象外となります。具体的なケースとしては、次のものが考えられます。
・休業補償給付を不正に受給するため、わざと就業中にケガをした
・就業時間中にもかかわらず、パチンコ屋に寄り、その際、足を滑らして転倒した
・任意参加の慰安旅行中にインフルエンザにかかった
・帰宅途中に寄った酒場で、隣の客と言い争いになり、殴られてケガをした
また、形式的には上記3つの要件を満たす場合でも、労働者自身の重大な過失や犯罪行為によって災害が発生したような場合は、保険給付の一部が制限されることもあります。
弁護士 寺岡幸吉は、社会保険労務士としての経験を活かし、労働災害をはじめとした労働問題に関する様々なご相談を承ります。
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