労災保険の給付の種類
労災保険の給付には、以下のように様々な種類があります。
①療養(補償)給付
②休業(補償)給付
③障害(補償)給付
④遺族(補償)給付
⑤葬祭料・葬祭給付
⑥傷病(補償)年金
⑦介護(補償)給付
⑧二次健康診断等給付
それぞれの給付について具体的に見ていきましょう。
①療養(補償)給付(労災保険法13条)
これは傷病の療養のため、診察や薬剤・治療材料、手術その他の治療、病院への収容、看護などを提供する給付です。基本的には労災病院または労災指定病院で無料の療養を受けられることを内容としますが、それが困難な場合は療養費の支給がなされます。
②休業(補償)給付(労災保険法14条以下)
労災による傷病が原因で、4日以上休業しなければいけない場合に、平均賃金相当額の60%が支給されるという制度です。また、これとは別に、平均賃金相当額の20%が休業特別支給金として給付されます。
③障害(補償)給付(労災保険法15条以下、別表第1及び第2、労災保険法規則別表第1参照)
労災による傷病によって後遺障害がある場合に、その障害の程度に応じて支給されます。障害は14段階の障害等級があり(1級が一番重く、14級が一番軽い)、1~7級までの重い障害に対しては障害補償年金が支給され、8~14級までの障害に対しては障害補償一時金が支給されます。
④遺族(補償)給付(労災保険法16条以下)
労災により労働者が死亡した場合、その遺族に遺族補償年金または遺族補償一時金が支給されます(基本的に前者が支給される)。受給資格者は、配偶者(事実婚も含む)、子ども、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹ですが、「妻」以外の者は一定の年齢要件または障害要件を満たさなければならず、また受給資格者には優先順位があるので、注意が必要です。
⑤葬祭料・葬祭給付(労災保険法17条)
労災により死亡した労働者のお葬式等を行う者(通常は遺族)に平均賃金相当額60日分の所定額が支給されます。
⑥傷病(補償)年金(労災保険法18条以下、12条の8第3項)
労災による傷病の程度がかなり重い場合(傷病による障害の程度が厚労省令で定める傷病等級に達している場合)は、傷病補償年金、傷病特別年金、傷病特別支給金を受けることができます。
⑦介護(補償)給付(労災保険法19条以下、12条の8第4項)
障害補償年金または傷病補償年金の受給者の中でも、特に障害の程度が重い(省令で定める以上のもの)ため、自宅等で介護を受けている場合は、一定の要件の下で支給されます。
⑧二次健康診断等給付
その他の給付として、「二次健康診断等給付」があります。これは定期健康診断等のうち、直近のもの(一次健康診断)において、「過労死」等に関連する項目(血圧検査、血中脂質検査、血糖値検査、腹囲の検査またはBMIの測定)で異常値と診断された場合に支給されます。ただし、労災保険制度に特別加入している方やすでに脳血管疾患または心臓疾患の症状を有している方は対象外となります。
以上の給付請求手続きは、厚労省ホームページ『労災保険給付の手続き等』(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyousei/rousai/index.html)で確認することができます。
弁護士 寺岡幸吉は、社会保険労務士としての経験を活かし、労働災害をはじめとした労働問題に関する様々なご相談を承ります。
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