認知症対策としての成年後見制度
■認知症対策としての成年後見制度
認知症になると、慎重な意思決定が難しくなり、必要のないものを購入してしまったり、大切な財産を不当な価格で売却してしまったりするリスクが高まります。ひどい場合には、悪徳商法や詐欺の被害に遭って大きな損害を被るということも考えられます。
成年後見制度を活用すれば、こうした被害を未然に防ぐことが可能になります。
■法定後見と任意後見の使い分け
既に本人の判断能力が低下しており、任意後見に向けた委託契約を結んでいない場合、法定後見制度を利用することになります。この場合、4親等内の親族が家庭裁判所に申立てることにより、後見人(または保佐人か補助人)が選任されます。
本人の判断能力が十分にあり、将来に向けて対策する場合には、法定後見・任意後見の2つの選択肢があります。任意後見には本人の希望する人に後見を依頼することが可能であるというメリットがありますが、法定後見人に認められる取消権が任意後見人には認められないという点には注意が必要です。
■後見・保佐・補助の違い
法定後見制度には①後見、②保佐、③補助があります。後見は判断能力が欠けている状態、保佐は判断能力が著しく不十分な状態、補助は判断能力が不十分な状態の場合に認められます。つまり、判断能力低下の程度が重い順に、①、②、③となります。
後見では、本人の行為能力が最も狭く限定され、後見人に広い権限が与えられます。具体的には、財産にかかわるすべての法律行為につき、後見人の代理権が認められます。また、日常生活に関する行為を除くすべての法律行為につき取消権が認められます。
保佐では、後見と比べて本人の行為能力が広く、保佐人の権限が狭くなっています。具体的には、本人が借金や訴訟等の行為を行う際に保佐人の同意が必要となります。また、これらの行為につき、保佐人の取消権が認められ、家庭裁判所が定めた範囲で代理権が認められます。
補助では、原則的に本人の自由な法律行為が認められており、補助人の権限は最小限にとどめられています。具体的には、家庭裁判所が定めた範囲で補助人の同意が必要となります。そして、取消権、代理権も家庭裁判所が定めた範囲で認められます。
弁護士 寺岡幸吉は、成年後見制度・相続手続き・高齢者虐待等に関する法律相談を承っております。川崎市・横浜市・大田区・品川区にお住まいの方はぜひ一度ご相談ください。
弁護士寺岡が提供する法律知識
-
労災保険の給付の種類
労災保険の給付には、以下のように様々な種類があります。 ①療養(補償)給付②休業(補償)給付③障害(補償)給付④遺族(補償)給付⑤葬祭料・葬祭給付⑥傷病(補償)年金⑦介護(補償)給付⑧二次健康診断等給付&nbs […]
-
就業規則の作成
1 就業規則とは就業規則とは、一言で言えば、職場の規律や労働者の労働条件などについて、使用者が定める規則です。就業規則で定めなければいけない事項は法律で定められており(労働基準法89条)、その範囲はかなり広範です。以下、 […]
-
労災保険の認定に必要...
労災保険の給付が認められるためには、次の3つの要件を満たす必要があります。 ①被災者が労働者であること②ケガなどが業務中または通勤中に生じたものであること③ケガなどが業務又は通勤を原因に発生したものであること& […]
-
後遺障害等級の認定と...
業務又は通勤が原因となった傷病が固定し、これ以上治療を続けても効果が期待できない段階(症状固定の段階)で、身体に一定の障害が残った場合には、障害補償給付(業務災害の場合)または障害給付(通勤災害の場合)が支給されます。& […]
-
会社が労災を認めてく...
業務中または通勤中のケガや病気などは、それが業務や通勤を起因とする限り、労災保険の対象となります。しかし、被災者が労災申請を行っても、会社が労災を認めず、同意または承認してくれないことがあります。このような場合に、被災者 […]
-
労災の手続き、会社任...
労災が発生したとき、労災申請の手続きを被災者ではなく会社が行っているというのが、一般的な慣行でしょう。 被災者はしばらく休業しなければならないケースも多く、煩雑な手続きを会社が行ってくれるというのは一見して有難 […]